vol.16  日曜大工に思う。 --- その3 ウッドデッキについて考える
いやー、前回一体何を書いたか私自身が忘れるくらいの期間が経過してしまったようで、「気まぐれメルマガ」とはいえあまりにひどい。

今回「ひとりごと」をのたまうにあたり、バックナンバーを読み返した始末。

と、ここまでは前回の「ひとりごと」をそのまま引用でできるというひどさ。

我ながら、あきれる。



ウッドデッキと作る!と決意したお父さん。
付け焼刃的DIY知識を手当たり次第に吸収するには「インターネット」ほど便利なものはない。
あっという間に耳年増状態になること間違いなし。


ただし、インターフェイスは「平面的な画面」だけ。
その向うにある「真実」をどう見極めるかもネット時代の大きなポイント。いろんな人、いろんな企業が自分の言い分を思い思いに主張している。
まさに「百家争鳴」状態だ。
それぞれに言い分があり、どれも正しいように思えてくる。


「いったいどうすればいいんだ!」と頭を抱え込むお父さんのために、ウッドザビエルこと、
くり坊が後悔しないデッキつくりをご教授いたしましょう。


とはいえ、私の意見も、「百家争鳴」のひとつに過ぎず、
決して神の声ではありませんので、あしからず。



まずは大事なプランニング。

「モデルプラン」そのままといったデッキはそろそろ卒業したいですね。
日本はウッドデッキ文化が成熟していないので、どうもイメージを優先したがる。

とにかく憧れの「ウッドデッキ」。
でも、一体何に使うのでしょう?

バーベキュー?でも年に数回。
しかも、「デッキが焦げたらどうしよう」ということで、デッキで狭くなった庭の片隅に
バーベキューコンロを置き、お父さんだけが炭火の放つ遠赤外線の餌食に。

せめて庭の真ん中で堂々をバーベキューをしたかったが、
庭の中心部には憧れのウッドデッキ。
しかも1箇所の階段を残してすべてフェンスに囲まれているので、腰掛けることもできず。


デッキの上から家族の声。

「おとうさん、まだ?」

汗にまみれ焼き鳥を裏返すお父さん。
蚊に刺されたすねが痒い。

「ちょっと待って・・・」

ぽりぽりとすねを掻きつつ、焼け具合を確認すべくひとつ口の中へ。
ちょっとなま。





デッキの上で「お茶」?
デッキの上は高さが高い。
その分、道路から丸見えになりやすい。
気分はもうお立ち台、状態。

優雅にお茶を飲んでいると、道行く町内会長と目があって、会釈。
「●●さん、来週のゴミ当番よろしくね」
なんて言われたりするとつらい。



なんだ、いいことぜんぜんないじゃん。
と結論を出すのはまだ早い。
実はバーベキューやお茶よりも大事な効果があるんです。



■効果その1.・・・目隠し効果

最近の住宅はオープン外構といって、周囲に高い塀をつくったりしない。
門もつけないケースが多い。
となると当然家も丸見え。
暮らし始めてすぐに気になりだすはず。

風呂上りにビールを飲みつつ、パンツ一丁で大また広げてソファーでくつろいでいると、
お隣の奥様が愛犬のジョンをつれてお散歩中。
おもわず床に寝そべって隠れようとしたが間に合わず、
かえって「妙な動きをするご主人」という印象を与えてしまう始末。

こんな時ウッドデッキのフェンスが役に立つのです。

部屋全体を隠さなくても、下半分を隠すだけで十分くつろぎの空間を確保できます。
男のたくましい胸板は見せても、たるんだ腹は見せない。
そういったやさしさがウッドデッキのフェンスには必要です。

下半分が見えなければ「パンツ一丁」であることもばれません。
デッキもないのに、リビングの前にフェンスなんか立てたら不自然です。



■効果その2・・・リビングの広がり効果

ウッドデッキのことを「アウトドアリビング」なんていいますが、
実際にデッキ上で過ごす以上に、リビング空間の延長としての効果が大きいわけです。

具体的にどういうことか?
まずは、外との距離感です。
デッキのない場合、掃き出しとはいえ、リビングから外にでるには
サンダルに履き替えて庭に降りなければならず、心理的な距離感はかなり遠い。

デッキがあると、高さもほぼフラットで、外に出るための位置エネルギーもほとんど不要。
まずたいていの人は裸足のまま、大きな抵抗も感じずに外にでてしまいます。

戸建て住宅のウッドデッキは雨にさらされて埃が洗い流されるので意外にきれい。
内と外との心理的な距離感は飛躍的に縮まります。

例えばデッキの上に鉢が置いてあり、花が咲いています。
この花は明らかに外にありますが、すでにインテリアの一部です。
リビングにいる人にとっては心理的にウッドデッキの範囲までが「内側」であり、
生活空間になります。

最近のリビングの窓は背も高く、折れ戸になりつつあるので、開いたときの開放感も抜群です。
デッキが欲しくなるはずです。



それから、プランニングとは関係ありませんが、部屋に入ってくる砂埃を軽減させてくれたり、
デッキに反射した光が部屋を明るくしてくれたりします。

木は紫外線の90パーセント以上を吸収してくれるので「照り返し」の光もやさしいわけです。



ウッドデッキのプランニング、というと皆さんすぐに庭に出て線を引きたがります。
発想が「外中心」なんですね。
外につけるわけですから当然といえば当然なのですが・・・。

外から見たときのウッドデッキは、「庭の一部」という機能が強調されます。
いわゆる「外向きの顔」です。
これは皆さん気にされるので、あえて今回は割愛します。


一度内側から見てみましょう。
第一のチェックポイントは目隠ししたい位置の特定。
逆に言えば、目隠しする必要もないところにフェンスをつけるなんてナンセンス。
お金をかけて使いにくくしているだけの場合もあります。
フェンスの効果をよく考えて配置を決めましょう。

チェックポイントは
「目隠し」・・・視線のカット(中から、外から)
「美観」・・・デザインとして効果。
「安全性」・・・危険の回避。転落防止など。
の3つ。

いずれの効果もなければ不要ということになります。



続いて、庭のデッキ設置予定場所の中央に椅子など出してその上に立ってみる。
そうするとデッキの上からのものの見え方が分かります。

今までは植栽で隠れていた空間が40センチ上がっただけで「お立ち台」になってしまう、
ということもよくあります。

庭が道路に面した「南玄関」タイプの住宅は要注意です。
今度はその前提で「目隠し計画」を練る必要があります。

デッキのフェンスだけではく、庭に立てるフェンスや植栽なども考慮した快適空間のプランニングです。



また、バーベキューをするときのコンロの位置も決めましょう。
デッキの上でなくとも、せめてデッキに腰掛けるくらいの感じでバーベキューができればいいですね。

逆に、家族がデッキに腰掛けて、お父さんはバーベキューコンロを挟んでその正面に陣取り、
ねじり鉢巻で炭起し。というのもいいです。



たかがバーベキュー、されどバーベキュー。
バーベキューコンロは厨房にあらず。
遠くから声をかけるべからず。

「焼き鳥お願いします。」

「はい焼き鳥はいります」

「焼き鳥お待ち。6番テーブル」

なんてのはバーベキューではない。


あくまでもバーベキューの中心はバーベキューコンロであり、そのコンロを担当するお父さんこそがバーベキューの主役でなければならぬ。


一家団欒の使命感に燃えるお父さん。

「お父さん、焼肉まだ?」と娘の声。

お父さんの口から、威厳に満ちた声が・・・。

「いや、焼き鳥を食べてから焼肉だ」



さて、デッキプランニング中のお父さん。
まず最初に決めたのはバーベキューコンロの位置であった。

男のロマン、恐るべし。


※お父さんを応援するつもりが妙に感情移入してしまい
大変失礼いたしました。
次回こそはきっとためになる
「お父さんのためのウッドデッキ講座」を予定しています。